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多摩川の断崖を利用した北条流の高度な築城術
滝山城の立地は、北を多摩川、西を秋川という二つの大きな河川が合流する舌状台地の先端に位置しており、川に面した北側は高さ数十メートルの切り立った断崖絶壁となっている。 この天然の要害に対し、北条氏照は西国の城のような石垣を一切使わず、関東ローム層の粘土質な土壌を深く掘り込み、高く盛り上げるという後北条氏特有の土木技術(土の城郭)によって城全体を要塞化した。 本丸、二の丸、中の丸などの広大な曲輪群の間には、深く幅の広い「空堀(からぼり)」が縦横に掘られ、曲輪同士を繋ぐ通路には有事の際に床板を取り外して敵の侵攻を物理的に遮断できる「引橋(ひきばし)」の構造が多数採用された。 迷路のように入り組んだ土塁と堀のネットワークは、鉄砲の死角を消し、敵兵を堀底の狭い空間に誘い込んで殲滅する極めて実戦的かつ高度な防御システムであった。



Photo: TT mk2 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0