トヨタ自動車
世界のトヨタ。その原点は自動織機

天下人も、自動車も、モーニングも。
知っている愛知の、知らない話。
世界のトヨタ、天下人を生んだ土地、味噌の濃い食文化。けれど愛知県の面白さは、その有名な看板の裏にある。名古屋と三河の独特な距離感から、国宝の城の持ち主、寺なのに稲荷と呼ばれる場所まで。知っているつもりの愛知を、少し違う角度から歩いてみよう。

名古屋市民は、まず愛知県とは答えない。名古屋出身と答える人が多い。
名古屋周辺の一宮、春日井、日進、長久手の人たちも、名古屋出身と答える人が多い。
一方、三河の人は名古屋と同じ扱いをされるのを嫌がる。
豊田市民は「世界のトヨタ」の都市と言い、岡崎市民は徳川家康誕生の地と説明する。
決して名古屋出身とは言わないのだ。
豊橋あたりまで行けば、もはや名古屋とは別の土地という感覚だ。
名古屋を名乗る尾張。名古屋を名乗らない三河。
同じ愛知県でも、出身地を聞けば、その距離感がよくわかる。

信長・秀吉・家康。天下の主役を交代で務めた3人の故郷は、現在の愛知県に集中している。
織田信長は尾張、豊臣秀吉も尾張の中村付近に生まれたと伝わる。そして徳川家康は三河・岡崎に生まれた。後の日本を動かした3人の出身地が、同じ県域に集まっている。
尾張の信長が天下布武を掲げて道を開き、同じ尾張の秀吉が統一を完成させ、最後は三河の家康が長期政権を開いた。
400年以上も前の戦いが、現代も「名古屋 vs 三河」の構図をもたらしているのかもしれない。

自動車王国の始まりは、エンジンではなく織機だった。
豊田佐吉が生み出したのは、織物を効率よく作るための自動織機。トヨタグループの原点は繊維機械の技術にある。
その技術と事業の基盤を受け継ぎ、豊田喜一郎らが自動車開発へ踏み出した。1937年にトヨタ自動車工業が設立され、織機から自動車へと産業の主役が転じていく。
同じ『機械を作る』でも、布を織る機械と車ではまるで別世界。トヨタの物語は、愛知のものづくりが一つの産業にとどまらなかった証しでもある。

『稲荷』なのに、正式には曹洞宗の寺院・妙嚴寺。
豊川稲荷と聞けば、多くの人は稲荷神社を思い浮かべる。ところが豊川稲荷の正式名称は円福山豊川閣妙嚴寺。曹洞宗のお寺だ。
信仰の中心となる豊川吒枳尼真天は、狐にまたがる姿などで表される。狐の像が並ぶ景観もあって、神社と勘違いされやすい。
神社かお寺かという単純な二択では捉えきれない、日本の信仰の重なりがここに残っている。名前から受ける印象と正式な宗教施設の区分がずれるのが面白い。

金の鱗を狙う盗人たち。凧で屋根に降りたという伝説まで残る。
名古屋城のシンボルといえば、天守の屋根に輝く金鯱。かつては金の鱗を狙った盗難事件があり、城の威信をかけた問題にもなった。
なかでも有名なのが、盗賊・柿木金助が大凧に乗って金鯱へ近づいたという話。まるで時代劇のようだが、凧の話は史実として確認されたものではなく伝説として紹介する必要がある。
本当の盗難事件と、そこからふくらんだ奇想天外な物語。金シャチは名古屋の象徴であると同時に、泥棒話まで呼び寄せる存在だった。

台湾の名を冠しながら名古屋発祥。さらに国名が増えていく不思議なラーメン。
台湾ラーメンは、名古屋の台湾料理店『味仙』で、台湾の麺料理をヒントに生まれたとされる名古屋めし。辛いひき肉と唐辛子が特徴だ。
面白いのは辛さの呼び名。辛さを抑えた『アメリカン』、通常より辛い『イタリアン』など、台湾ラーメンなのに次々と別の国名が登場する。
呼び方や提供の有無は店舗・時期によって異なる。名前に惑わされず、自分の辛さ耐性を確かめてから注文したい。
国宝の天守を、城主の家が代々受け継いでいた。
木曽川沿いに建つ犬山城は、現存天守を持つ国宝の城のひとつ。歴史遺産だから、昔から国や自治体のものだったと思いがちだ。
ところが犬山城は、長く成瀬家の個人所有として知られた。2004年に財団法人へ移るまで、個人が国宝の城を所有するという珍しい形が続いていた。
城を守り続ける責任は、一族の誇りだけでは片づかない。保存や維持の問題を考えると、『自分の城』という言葉の重みが違って聞こえる。

地名を変えるほど、企業と街の関係は大きくなっていた。
現在の豊田市は、かつて挙母(ころも)市という名前だった。1959年、トヨタ自動車の発展とともに、自治体名も『豊田市』へと変わった。
もちろん会社が勝手に街の名前を取り換えたわけではない。改称には賛成と反対があり、地域の歴史ある地名を残したいという声もあった。
世界的な企業に街の名が重なる一方、かつての『挙母』という名前も歴史の中に残っている。市名変更の背後には、産業の勢いと郷土への愛着がぶつかった物語がある。

飲み物を頼んだら、トーストやゆで卵まで。時にはもっと。
愛知の喫茶店文化で有名なのが『モーニング』。朝の時間帯、ドリンク代だけでトーストやゆで卵などが付くサービスが広く知られている。
一宮では繊維産業の商談文化との関わりが語られ、豊橋にも独自のモーニング文化がある。発祥地については複数の地域が主張しており、一つに決めつけることはできない。
茶碗蒸しやサラダが登場する店もあり、どこまでが『おまけ』なのか分からなくなる。愛知では、朝食そのものが喫茶店の楽しみなのだ。

花火を見るのではなく、抱える。東三河の迫力ある奉納行事。
手筒花火は、火薬を詰めた竹筒を人が抱え、火柱を噴き上げる勇壮な伝統。豊橋をはじめ東三河に受け継がれている。
火花に包まれる姿は驚くほど迫力がある。製作や奉納には経験と安全管理が欠かせず、観光客が真似できるようなものではない。
夜空へ打ち上げる一般的な花火とは違い、人と火が驚くほど近い。その距離こそが、この土地の祭りを特別なものにしている。
知っている企業やブランドの、意外な原点。
世界のトヨタ。その原点は自動織機
車部品だけじゃない! QRコードの生みの親
ミシンからプリンターへ大転身
社名は創業者2人の名字から
日本のガス器具メーカーなのにスペイン語の社名
常滑の焼き物文化から生まれた衛生陶器
トマトから始まった食品メーカー
江戸時代の半田で始まったお酢の会社
名古屋の喫茶文化を全国へ
名古屋の手羽先が全国ブランドに
喫茶店のカレーから世界的チェーンへ
名古屋の鋳物工場から生まれた高級鍋
日本で唯一、地下鉄として環状運転ができる名城線。
交差点の上に不思議な形で吊られた懸垂型の信号機があった。
JRセントラルタワーズは完成時、駅ビルの規模でギネス記録に。
常滑の町を巨大な招き猫の顔が見下ろしている。
名古屋名物なのに発祥は三重県津市。
タモリの名古屋いじりとエビフライ名物化の関係は?
薬の「外郎」と和菓子の名前には複数の由来説がある。
熱い鉄板と卵の上にナポリタンを載せる。
チューブから出てくる甘味噌だれ。
あんこをビスケットで挟んだ愛知のロングセラー。
バク転の成績と食パンの年俸が結びついた珍契約。
「久しぶり」を意味する名古屋弁。
パチンコを変えた名古屋発の釘配置技術。
豊橋の工場で生産されている人気チョコ菓子。
祝い事で大量のお菓子をまく地域の風習。