名古屋駅西口から望む高層ビル群
47 PREFECTURES / AICHI

愛知の裏側

天下人も、自動車も、モーニングも。
知っている愛知の、知らない話。

Photo: Alpsdake / CC BY-SA 4.0
BEHIND AICHI

尾張と三河。
ひとつの県に、いくつもの顔。

世界のトヨタ、天下人を生んだ土地、味噌の濃い食文化。けれど愛知県の面白さは、その有名な看板の裏にある。名古屋と三河の独特な距離感から、国宝の城の持ち主、寺なのに稲荷と呼ばれる場所まで。知っているつもりの愛知を、少し違う角度から歩いてみよう。

TEN STORIES

愛知の、知られざる10の物語

愛知県の地域意識を5地域で表現したイラスト(画像生成)
画像:AI生成イメージ
01

愛知県には、見えないカースト制度がある

名古屋市民は、まず愛知県とは答えない。名古屋出身と答える人が多い。

名古屋周辺の一宮、春日井、日進、長久手の人たちも、名古屋出身と答える人が多い。

一方、三河の人は名古屋と同じ扱いをされるのを嫌がる。

豊田市民は「世界のトヨタ」の都市と言い、岡崎市民は徳川家康誕生の地と説明する。

決して名古屋出身とは言わないのだ。

豊橋あたりまで行けば、もはや名古屋とは別の土地という感覚だ。

名古屋を名乗る尾張。名古屋を名乗らない三河。

同じ愛知県でも、出身地を聞けば、その距離感がよくわかる。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑を左から並べたイメージ画像(画像生成)
画像:AI生成イメージ
02

天下人3人は、なぜ全員愛知県から生まれたのか?

信長・秀吉・家康。天下の主役を交代で務めた3人の故郷は、現在の愛知県に集中している。

織田信長は尾張、豊臣秀吉も尾張の中村付近に生まれたと伝わる。そして徳川家康は三河・岡崎に生まれた。後の日本を動かした3人の出身地が、同じ県域に集まっている。

尾張の信長が天下布武を掲げて道を開き、同じ尾張の秀吉が統一を完成させ、最後は三河の家康が長期政権を開いた。

400年以上も前の戦いが、現代も「名古屋 vs 三河」の構図をもたらしているのかもしれない。

資料写真
写真:Momotarou2012 / CC BY-SA 3.0
03

トヨタは最初、自動車メーカーではなかった

自動車王国の始まりは、エンジンではなく織機だった。

豊田佐吉が生み出したのは、織物を効率よく作るための自動織機。トヨタグループの原点は繊維機械の技術にある。

その技術と事業の基盤を受け継ぎ、豊田喜一郎らが自動車開発へ踏み出した。1937年にトヨタ自動車工業が設立され、織機から自動車へと産業の主役が転じていく。

同じ『機械を作る』でも、布を織る機械と車ではまるで別世界。トヨタの物語は、愛知のものづくりが一つの産業にとどまらなかった証しでもある。

S04指定写真
写真:Wikimedia Commons(著作者・ライセンスは出典ページ参照) 画像の出典・利用条件
04

豊川稲荷は、実は神社ではなくお寺だった

『稲荷』なのに、正式には曹洞宗の寺院・妙嚴寺。

豊川稲荷と聞けば、多くの人は稲荷神社を思い浮かべる。ところが豊川稲荷の正式名称は円福山豊川閣妙嚴寺。曹洞宗のお寺だ。

信仰の中心となる豊川吒枳尼真天は、狐にまたがる姿などで表される。狐の像が並ぶ景観もあって、神社と勘違いされやすい。

神社かお寺かという単純な二択では捉えきれない、日本の信仰の重なりがここに残っている。名前から受ける印象と正式な宗教施設の区分がずれるのが面白い。

資料写真
写真:Onyo (Masakazu Ono) / CC BY-SA 4.0
05

名古屋城の金シャチは何度も盗まれている

金の鱗を狙う盗人たち。凧で屋根に降りたという伝説まで残る。

名古屋城のシンボルといえば、天守の屋根に輝く金鯱。かつては金の鱗を狙った盗難事件があり、城の威信をかけた問題にもなった。

なかでも有名なのが、盗賊・柿木金助が大凧に乗って金鯱へ近づいたという話。まるで時代劇のようだが、凧の話は史実として確認されたものではなく伝説として紹介する必要がある。

本当の盗難事件と、そこからふくらんだ奇想天外な物語。金シャチは名古屋の象徴であると同時に、泥棒話まで呼び寄せる存在だった。

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06

台湾ラーメンは名古屋生まれ! アメリカンとイタリアンもある

台湾の名を冠しながら名古屋発祥。さらに国名が増えていく不思議なラーメン。

台湾ラーメンは、名古屋の台湾料理店『味仙』で、台湾の麺料理をヒントに生まれたとされる名古屋めし。辛いひき肉と唐辛子が特徴だ。

面白いのは辛さの呼び名。辛さを抑えた『アメリカン』、通常より辛い『イタリアン』など、台湾ラーメンなのに次々と別の国名が登場する。

呼び方や提供の有無は店舗・時期によって異なる。名前に惑わされず、自分の辛さ耐性を確かめてから注文したい。

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07

国宝・犬山城は平成まで個人所有だった

国宝の天守を、城主の家が代々受け継いでいた。

木曽川沿いに建つ犬山城は、現存天守を持つ国宝の城のひとつ。歴史遺産だから、昔から国や自治体のものだったと思いがちだ。

ところが犬山城は、長く成瀬家の個人所有として知られた。2004年に財団法人へ移るまで、個人が国宝の城を所有するという珍しい形が続いていた。

城を守り続ける責任は、一族の誇りだけでは片づかない。保存や維持の問題を考えると、『自分の城』という言葉の重みが違って聞こえる。

トヨタ自動車本社の外観
写真:kanesue / CC BY 3.0(2010年撮影) Wikimedia Commons
08

トヨタのために「挙母市」が「豊田市」になった

地名を変えるほど、企業と街の関係は大きくなっていた。

現在の豊田市は、かつて挙母(ころも)市という名前だった。1959年、トヨタ自動車の発展とともに、自治体名も『豊田市』へと変わった。

もちろん会社が勝手に街の名前を取り換えたわけではない。改称には賛成と反対があり、地域の歴史ある地名を残したいという声もあった。

世界的な企業に街の名が重なる一方、かつての『挙母』という名前も歴史の中に残っている。市名変更の背後には、産業の勢いと郷土への愛着がぶつかった物語がある。

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09

コーヒー1杯で朝食が付く、名古屋モーニングの謎

飲み物を頼んだら、トーストやゆで卵まで。時にはもっと。

愛知の喫茶店文化で有名なのが『モーニング』。朝の時間帯、ドリンク代だけでトーストやゆで卵などが付くサービスが広く知られている。

一宮では繊維産業の商談文化との関わりが語られ、豊橋にも独自のモーニング文化がある。発祥地については複数の地域が主張しており、一つに決めつけることはできない。

茶碗蒸しやサラダが登場する店もあり、どこまでが『おまけ』なのか分からなくなる。愛知では、朝食そのものが喫茶店の楽しみなのだ。

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10

火柱を脇に抱える! 豊橋の手筒花火

花火を見るのではなく、抱える。東三河の迫力ある奉納行事。

手筒花火は、火薬を詰めた竹筒を人が抱え、火柱を噴き上げる勇壮な伝統。豊橋をはじめ東三河に受け継がれている。

火花に包まれる姿は驚くほど迫力がある。製作や奉納には経験と安全管理が欠かせず、観光客が真似できるようなものではない。

夜空へ打ち上げる一般的な花火とは違い、人と火が驚くほど近い。その距離こそが、この土地の祭りを特別なものにしている。

SPECIAL COLLECTION

実は愛知生まれ!

知っている企業やブランドの、意外な原点。

01

トヨタ自動車

世界のトヨタ。その原点は自動織機

02

デンソー

車部品だけじゃない! QRコードの生みの親

03

ブラザー工業

ミシンからプリンターへ大転身

04

リンナイ

社名は創業者2人の名字から

05

パロマ

日本のガス器具メーカーなのにスペイン語の社名

06

INAX(LIXIL)

常滑の焼き物文化から生まれた衛生陶器

07

カゴメ

トマトから始まった食品メーカー

08

ミツカン

江戸時代の半田で始まったお酢の会社

09

コメダ珈琲店

名古屋の喫茶文化を全国へ

10

世界の山ちゃん

名古屋の手羽先が全国ブランドに

11

CoCo壱番屋

喫茶店のカレーから世界的チェーンへ

12

バーミキュラ

名古屋の鋳物工場から生まれた高級鍋

JAPAN RANKING

全国ランキングの裏側

全国1位

NO.1

製造品出荷額等

さすがトヨタのお膝元
NO.1

寺院数

京都より多い!?
NO.1

招き猫の生産量

商売繁盛!
AICHI TRIVIA

愛知の小ネタ15選

01

名城線

日本で唯一、地下鉄として環状運転ができる名城線。

02

UFO型信号機

交差点の上に不思議な形で吊られた懸垂型の信号機があった。

03

世界最大級の駅ビル

JRセントラルタワーズは完成時、駅ビルの規模でギネス記録に。

04

とこにゃん

常滑の町を巨大な招き猫の顔が見下ろしている。

05

天むす

名古屋名物なのに発祥は三重県津市。

06

エビフリャー

タモリの名古屋いじりとエビフライ名物化の関係は?

07

ういろう

薬の「外郎」と和菓子の名前には複数の由来説がある。

08

鉄板ナポリタン

熱い鉄板と卵の上にナポリタンを載せる。

09

つけてみそかけてみそ

チューブから出てくる甘味噌だれ。

10

しるこサンド

あんこをビスケットで挟んだ愛知のロングセラー。

11

ドアラ

バク転の成績と食パンの年俸が結びついた珍契約。

12

やっとかめ

「久しぶり」を意味する名古屋弁。

13

正村ゲージ

パチンコを変えた名古屋発の釘配置技術。

14

ブラックサンダー

豊橋の工場で生産されている人気チョコ菓子。

15

菓子まき

祝い事で大量のお菓子をまく地域の風習。