岡山の裏側
桃太郎だけじゃない。首都移転説、鬼ヶ島、八つ墓村、ウインカー、巨大ネズミ、そして妙な全国ランキングまで。
知っている岡山の、まだ知らない話。
岡山を「観光名所」ではなく、独自の視点から見てみる。
岡山といえば桃太郎、きびだんご、後楽園。もちろんそれも岡山です。でも少し横道に入ると、「なぜそうなった?」と聞きたくなる話が次々に出てきます。この特集は、県の自慢話でも自虐大会でもありません。岡山という土地を、伝説・都市伝説・事件・県民性・生き物・統計から雑多に眺めます。
吉備津神社 / Wikimedia Commons
岡山=桃太郎は、いつから?
岡山=桃太郎のイメージは、県のPRだけで突然できたものではありません。
ヒントは「きびだんご」です。岡山のきびだんごは江戸から明治にかけて土産菓子として整えられ、1886年には明治天皇へ献上。鉄道の発達とともに岡山駅の名物として全国へ広がりました。
一方、誰もが知る「桃太郎」の歌は岡山のご当地ソングではありません。1900年に『幼年唱歌』の「モモタロウ」、1911年に文部省唱歌「桃太郎」が全国の子どもたちへ広まりました。歌詞にも岡山は登場しません。
全国で桃太郎が有名になる一方、岡山には「きびだんご」という強烈な接点がすでにあった。そこへ吉備津彦命・温羅伝説と長年の観光PRが重なり、「桃太郎といえば岡山」が出来上がっていったようです。
桃太郎の故郷は、岡山だけではない。
岡山が桃太郎を名乗っている間に、他県にも普通に桃太郎がいました。
実は桃太郎は岡山だけではなかった。岡山は県をあげてのPR合戦に勝ったのか?
女木島 / Wikimedia Commons
岡山の桃太郎を追ったら、鬼ヶ島は香川県だった。
桃太郎県・岡山から海を渡ると、高松沖の女木島には「鬼ヶ島大洞窟」があります。
女木島は通称「鬼ヶ島」。島内の洞窟は1931年に鬼ヶ島として公開され、現在も桃太郎伝説のスポットとして知られています。
鬼ヶ島は、瀬戸内海の反対側の香川県にある。つまり、鬼は毎回、瀬戸内海を泳いできたことになる。岡山より香川の方が近かったのに、なぜ岡山ばかり襲撃してきた?
岡山が日本の首都になるはずだった?
「大災害で東京が機能しなくなったら、首都を岡山へ」――そんな都市伝説で必ず名前が出るのが吉備高原です。
吉備高原都市は、計画面積1,912ha・計画人口3万人の実在するニュータウン。公式サイトでは、吉備高原地域の地下は一枚の岩盤で活断層がなく、約3,400万年前の地層が大きな地震の影響を受けずに維持されているとの地学報告を紹介しています。
さらに現実の行政でも、防災拠点候補として吉備高原の名前が出ています。2025年には岡山県知事が、防災庁の候補地として吉備高原は「かなり有力」と発言しました。
ネットの都市伝説だった「岡山首都計画」が、現実の防災拠点論と妙に重なり始めています。
吉備高原都市公式サイトの掲載写真を外部参照
吉備中央町
「地下は一枚の岩盤」「活断層なし」と公式サイトでも紹介されている。赤磐市の地質資料では、吉備高原を東西約170km・南北約45km・深さ約20kmの巨大な岩盤と説明。岡山大学の研究発表では、深さ約30kmに達する安定岩盤が報告されています。
小説『八つ墓村』は、岡山で育った。
横溝正史疎開宅(倉敷市真備町)
『八つ墓村』は横溝正史の金田一耕助シリーズを代表する長編推理小説。その後、何度も映画・テレビドラマ化されました。
戦国時代、黄金を持って村へ逃げ込んだ八人の落武者が村人に殺され、「八つ墓村」と呼ばれるようになった山村。時代が下り、村では大量殺人の記憶を引きずるように再び連続殺人が起き、金田一耕助がその謎を追います。
本作品の作者・横溝正史は、1945年から約3年半、岡山県倉敷市真備町へ疎開していました。土地の人々から農村の因習や暮らしを聞き、戦後の作品構想を温めています。
作品の背景としてよく名前が挙がるのが、1938年に岡山県苫田郡西加茂村で起きた「津山事件」。この実在事件に、横溝自身の岡山での疎開経験や地域で聞いた話が重なり、『八つ墓村』の世界が形づくられていきました。
岡山の車のウインカーはオプションか?
「ウインカーを出さない車が多い」と感じた割合
筆者の偏見: 岡山市内を走っていると、本当に出さない車に遭遇する。右折する。左折する。車線変更する。でもウインカーを出さない。
「ウインカーはオプションか?」とツッコミたくなることが多々ある。
岡山県の回答者の91%が同じような違和感を持っていたという数字を見ると、どうやら気のせいだけでもなさそうだ。
※この91%は事故率や違反率ではなく、「そう感じるか」を尋ねたアンケート結果です。岡山市の川を泳ぐ、カピバラみたいな巨大ネズミ。
「あれ、カピバラ?」と思って近づくと、たぶんヌートリアです。
正体は南米原産のヌートリア。カピバラを少し小さくしたような顔で、岡山市内の川を普通にスイスイ泳いでいます。見た目はのんびり系ですが、追い詰めたり餌を与えたりすると噛みつくことがあり、鋭い前歯でケガをする危険もあります。農作物や水辺の生態系への被害もあり、特定外来生物として扱われています。
見かけても「カピバラだ!」と近づかない方がいい。凶暴じゃなかったら、カピバラ並みに人気が出たのかもしれない。
「晴れの国」は、本当に日本一晴れているのか?
答えは、半分YES。半分NO。
岡山は「降水量1mm未満の日数」が年間約277日で全国1位。一方、年間日照時間は全国15位です。
つまり「雨が降らない日は日本トップ」ですが、「太陽が出ている時間が日本一」という意味ではないようです。だったら、「雨少ない国」に改名した方がいい。
「晴れの国」には、ちゃんと根拠がある。でも圧倒的な太陽王国というわけではない。
岡山の企業・ブランドコレクション
岡山で生まれた企業・ブランドを中心に、指定企業は創業地を明記して紹介。
ベネッセ
1955年、岡山市で福武書店として創業。教育・出版から「Benesse」へ。
カバヤ食品
1946年設立。キャラメルからグミ・玩具菓子まで展開する岡山本社の菓子メーカー。
サンマルク
1989年、岡山市で創業。焼きたてパンのベーカリーレストランから多業態へ。
はるやま
1974年、岡山市で関西地区はるやまチェーンを設立。紳士服チェーンとして発展。
洋服の青山
岡山発祥ではなく広島県府中市で1964年創業。1974年、東広島市で1号店を開いた。
クラレ
1926年、岡山県倉敷市で倉敷絹織として誕生。化学・繊維の技術を広げた。
倉敷紡績(クラボウ)
1888年、岡山県倉敷で紡績会社として創業。繊維技術から多角化した。
トマト銀行
1931年、倉敷市で倉敷無尽として設立。1989年にトマト銀行へ商号変更。
岡山県民をランキングで雑に見てみる。
囲碁人口
「どこで打ってる?」
IHクッキングヒーター普及率
「ガス嫌い?」
女性平均寿命 88.29歳
「寝てないのに長生き。」
睡眠時間は7時間50分で全国43位(長い順)。
出典・調査について
- 岡山県:2013年8月12日知事記者会見(桃太郎PR)
- 犬山市観光協会:桃太郎神社
- 香川県観光協会:女木島・鬼ヶ島大洞窟
- 岡山県:吉備高原都市建設事業計画
- 倉敷市:横溝正史疎開宅・横溝正史関連資料
- JAF:交通マナーに関するアンケート調査(2016年6月)
- 岡山県:県内で確認された特定外来生物
- 岡山県:晴れの国/降水量1mm未満の日数・日照時間
- 岡山県:平均寿命(女)、睡眠時間
- 岡山県観光WEB:児島学生服資料館
- とどラン:岡山県ベスト&ワースト(ランキング候補抽出用。Production前に元統計・調査年を再確認)