亀山城

かめやまじょう

亀山城

Photo: ペ有家音 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

本能寺の変の出撃拠点と、国家権力によって爆破された近代の受難

京都府亀岡市に位置する亀山城は、明智光秀が丹波国を攻略・統治するための最前線基地として築城した。日本の歴史を大きく転換させた「本能寺の変」において、光秀の軍勢が出撃した出発点として広く知られている。戦国時代における重要な軍事拠点としての役割と、昭和初期に宗教団体への弾圧事件に巻き込まれ、城跡そのものが国家権力によって徹底的に破壊された数奇な軌跡を記録する。

基本情報

名称
亀山城
別名
亀宝城
所在地
京都府亀岡市荒塚町
築城
1577年(天正5年)頃
主な築城者
明智光秀
現在の城跡・建造物の状態
宗教法人大本(おおもと)の本部施設として所有・管理。石垣の一部が復元されて現存する。

01

丹波攻略の最前線と「敵は本能寺にあり」の出撃拠点

織田信長から丹波国平定の命を受けた明智光秀は、京から丹波へと至る交通の要衝である亀岡盆地に目を付け、天正五年(一五七七年)頃から亀山城の築城を開始した。光秀はこの城を拠点として、波多野氏をはじめとする丹波の強力な国人衆を各個撃破し、数年がかりで平定を成し遂げた。そして天正十年(一五八二年)六月、備中高松城の羽柴秀吉を救援するよう信長から命じられた光秀は、この亀山城から一万三千の軍勢を率いて出陣する。しかし、軍勢が京の境である老ノ坂峠に差し掛かったところで、光秀は進軍の方向を西から東へと反転させ、主君である信長が滞在する本能寺へと向かったのである。日本の歴史の分岐点となる重大な軍事的決断と出撃は、この城の城門を潜った直後に下された。

丹波攻略の最前線と「敵は本能寺にあり」の出撃拠点

02

豊臣・徳川政権下での城郭拡張と近世城郭への完成

本能寺の変の後、光秀が山崎の戦いで討たれると、亀山城は豊臣秀吉の重要な直轄拠点となる。秀吉は養子である羽柴秀勝(信長の四男)や小早川秀秋らを城主として配置し、城の規模をさらに拡張させた。特筆すべきは、関ヶ原の戦いを経て江戸幕府が開かれた後の慶長十五年(一六一〇年)に行われた「天下普請」である。徳川家康は西国大名たちの財力を削ぐ目的も兼ねて、藤堂高虎らに命じて亀山城の大規模な改修工事を行わせた。この工事によって五重の層塔型天守がそびえ立つ壮麗な近世城郭が完成し、京の北西を防御する徳川政権の重要拠点として、幕末に至るまで丹波亀山藩の藩政の中心として機能し続けたのである。

豊臣・徳川政権下での城郭拡張と近世城郭への完成

03

昭和初期の「第二次大本事件」によるダイナマイト爆破

明治維新を迎えて廃城令が下されると、亀山城の建造物は解体・売却され、城跡は荒れ果てた状態となった。大正時代に入り、この荒廃した城跡を買い取ったのが新宗教団体「大本(おおもと)」の指導者である出口王仁三郎であった。大本は教団の聖地として私財を投じて石垣を修復し、神殿を造営したが、教勢の急激な拡大を恐れた当時の軍部および国家権力は、昭和十年(一六三五年)に激しい弾圧(第二次大本事件)を実行する。治安維持法違反や不敬罪を理由に教団幹部を一斉検挙した特高警察は、亀山城跡にあった教団施設はおろか、光秀時代から残る歴史的な石垣に至るまでダイナマイトを仕掛けて跡形もなく爆破・粉砕するという徹底的な破壊工作を行った。現在見られる石垣は、戦後に教団の手によって再び一つずつ積み直されたものである。

昭和初期の「第二次大本事件」によるダイナマイト爆破

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