福知山城

ふくちやまじょう

福知山城

Photo: baggio4ever / Wikimedia Commons / CC BY 3.0

福知山城

京都府福知山市に建つ福知山城は、丹波を平定した明智光秀によって築城され、現在も当時の石垣を良好に残す城郭である。「本能寺の変」の首謀者として謀反人の印象が強い光秀であるが、この福知山の地においては、現在に至るまで領民を水害から守り、経済を活性化させた名君として厚く祀られている。独特の建築工法と、領民救済の治水事業の全貌を記録する。

基本情報

名称
福知山城
別名
横山城、臥龍城
所在地
京都府福知山市字内記
築城
1579年(天正7年)頃
主な築城者
明智光秀
現在の城跡・建造物の状態
福知山公園として整備。昭和末期に復元された天守が建ち、光秀時代の石垣(野面積み)が現存する。

01

横山城の制圧と「福知山」への地名変更

福知山城が建つ丘陵には、元々この地を支配していた国人領主・塩見頼勝が築いた「横山城」が存在していた。天正七年(一五七九年)、織田信長の命を受けて丹波攻略を進めていた明智光秀は、激しい攻防の末に塩見氏を打ち破って横山城を制圧する。丹波平定を完了させた光秀は、丹後(現在の京都府北部)への重要な交通路を抑えるこの地を軍事拠点として大改修し、地名を横山から「福智山(後に福知山)」へと改めた。「福智」という言葉は、光秀が自らの武将としての理想や、領民に対する善政への決意を込めた仏教用語(福徳と智慧)に由来すると考えられている。光秀は甥の明智秀満を城代として配置し、丹波の安定統治に着手した。

横山城の制圧と「福知山」への地名変更

02

五百個以上の墓石や仏塔を組み込んだ「転用石」の石垣

福知山城の最大の特徴として挙げられるのが、天守台を支える石垣に大量の「転用石(てんようせき)」が使用されている点である。石垣の表面や内部を観察すると、本来は城の建材ではない五輪塔、宝篋印塔(ほうきょういんとう)、石仏、墓石などが数百個にわたってパズルのように組み込まれていることが確認できる。これらは築城を急ぐために、城の周辺にあった寺院や墓地から石材を強制的に徴発して石垣の材料に流用したものである。現代の感覚では罰当たりな行為にも思えるが、戦国期においては防衛拠点の急速な構築が最優先課題であり、宗教的な石材をあえて足元に踏み敷くことで、反抗的な在地勢力(寺社勢力など)の権威を物理的に否定し、新たな支配者としての力を誇示する意図も含まれていた。

五百個以上の墓石や仏塔を組み込んだ「転用石」の石垣Photo: 投稿者が撮影 / Wikimedia Commons / Public domain

03

氾濫する由良川の治水事業「明智藪」と免税特権

福知山城の東側を流れる由良川は、大雨のたびに氾濫を繰り返して城下町に甚大な被害をもたらす暴れ川であった。光秀は領民を水害から守るため、川の流れを城から遠ざけるための大規模な堤防を築き、その土手に強固な竹林を植樹して地盤を固めた。この堤防は現在も「明智藪(あけちやぶ)」と呼ばれ、福知山の街を水害から守り続けている。さらに光秀は、戦乱で疲弊した町衆を救済するために「地子銭(土地にかかる税金)」を恒久的に免除するという特権を与え、城下町の商業を急速に復興させた。本能寺の変によって光秀が逆賊として討たれた後も、福知山の領民たちは光秀の善政を忘れることなく、御霊神社を建立して光秀の霊を密かに、そして手厚く祀り続けたのである。

氾濫する由良川の治水事業「明智藪」と免税特権

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